ツキノワグマの生息調査が行われている鶴岡市上名川の山形大農学部演習林近くで23日、オスのツキノワグマ1頭が捕獲され、山形大農学部は発信機を付けて演習林に放した。人工衛星を使って行動範囲など詳細なデータを収集する。
生息調査は県が環境省自然環境局生物多様性センターから委託され、農学部の協力で今年7月から実施している。約753ヘクタールの演習林内に「ヘアトラップ」と呼ばれるわなを設置しクマの体毛から遺伝子を解析して個体を特定するほか、捕獲したクマに発信機を取り付けるためドラム缶わなを32カ所に設置している。
クマが掛かったわなは農学部が設置したものではなく、有害駆除のため地元猟友会が演習林北側のクリ林に仕掛けたドラム缶わな。23日昼前、通りかかった人が見つけた。体長156センチ、体重129キロのオスで、冬眠を前にかなり脂肪を蓄えていた。獣医師が麻酔で眠らせた後、遺伝子解析のため血液と体毛を採取した後、発信機を付けた首輪を装着し午後4時すぎに演習林内に放した。
クマの行動追跡は、アルゴス衛星を使って位置情報を解析する「GPSアルゴスシステム」で行う。発信機からアルゴス衛星に一定時間ごとに位置情報を送信、地上の解析センターで処理し行動範囲などの情報を得る。アルゴスで取れない詳細なデータはGPSの装置を回収して補う。
農学部では発信機付きの首輪を3セット準備しており、今回が初の装着。林田光祐教授は「わなに併設している自動撮影装置でさらに2―3頭が確認されている。冬眠の準備でクマは11月中旬までは活発に活動するため、それまでに1頭でも多くに発信機を付け、より多くのデータを集めたい」と話している。