昨年9月の台風12号の水害で和歌山県田辺市本宮町から流失したイベント「八咫(やた)の火祭り」の看板が、千葉県の九十九里浜で見つかった。看板を拾った千葉市の男性(65)は4月、看板を返すため来県する。イベントの関係者は「わざわざ持ってきてくださると聞き、なんとお礼していいやら」と感激している。
看板は、毎年8月末に同町で開かれる「八咫の火祭り」で、会場に設置する実行委員会名を手書きした木板。大きさは縦1メートル、横20センチ。町内の熊野川に近い倉庫で保管していたが、台風12号で川が氾濫して倉庫が損壊。のぼりや灯籠といったイベント資材が多数流された。
看板を拾ったのは、会社員の小出善美さんと妻栄子さん(60)。九十九里浜は自宅に近く、よく海岸を散歩するという。9月下旬に海岸で見つけ、自宅に持ち帰ってインターネットで調べ、実行委員会に連絡した。
和歌山と三重の県境にある熊野川河口から九十九里浜の発見された場所は直線距離で約450キロ。黒潮で運ばれたとみられる。小出さんによると、当時、海岸には流木などがたくさん打ち上がり、その中には和歌山県と記されたくいなども漂着していたという。
連絡を受けた実行委では礼を述べ、着払いで配送をお願いしたところ、小出さんは4月にある熊野本宮大社の例大祭に合わせ、自ら届けたいと申し出た。
イベント実行委の小淵宇津比古委員長(63)は「潮流を考えると不思議ではなかったが、看板の文字を読み、手間を掛けて探し当ててくれたことに驚いた。夏のイベントに招待したい」と話し、小出さんも「紀伊半島の山中から、何百キロも太平洋を漂ってきた経緯に驚きと興味が湧いている」と紀南の地を訪れるのを楽しみにしている。