元気届ける「わら馬」 伊那の田中さん願い込め製作

長野日報社 地域 2012年1月23日

 伊那市東春近下殿島の工芸家、田中豊文さん(77)が、無病息災や家内安全を願うわら馬作りに追われている。初午の3日までに120体を完成させ、お世話になった人や一人暮らしのお年寄り、高齢者福祉施設への入居者らに贈る。
 子どもの頃から、わら細工に親しんできた田中さんは、独自に考案したわら馬を1996年から作り始めた。ところが2001年、末期の喉頭がんを発症。苦しい闘病生活とリハビリを乗り越えて、07年からわら馬作りを再開できるようになった。
 わら馬は夫婦一そろいで、雄は空に向かってまっすぐに首を伸ばし、雌は草を食んでいる。首は節のないわらを使い、たてがみをそろえ、竹串を芯にした4本の足でしっかりと立つ。最後に転ばないようにバランスを整える。
 今年は初午が3日と平年より早いため、正月明けから作業に取り掛かり、現在ピークを迎えている。1日4体を仕上げ、お年寄りには「いつまでもお元気で。すべてが馬(うま)くいく」と願いを込めた手紙を添える。
 「最近は『病気を克服したい』『がんを治したい』と、わらにもすがる思いで『譲ってほしい』と来る人が多い」と田中さん。「もらった人が元気になれるよう毎日必死に作っているよ」と作業する手を休めずに笑う。

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