驚愕の事態

釧路新聞社 地域 2011年7月24日

浜中町でセシウム稲わら

 放射線セシウムで汚染された稲わらを食べた肉牛が畜産農家から出荷される問題が全国各地で相次いでいる。22日夜には北海道で初めてとなる浜中町の事例が判明。思わぬ事態に浜中町農協の関係者らは一夜明けた23日も対応に追われた。一方、浜中の肉からは国の暫定規制値を上回る放射性セシウムは検出されず、この日会見に応じた同農協の高橋勇参事も「暫定規制値を下回りまずは一安心している」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 同農協などによると、問題の稲わらは2009年10月から試験的に使用を開始。肉牛の出荷前に稲わらを食べさせることで、肉質が高まり、牛肉は良質な霜降り肉に仕上がるという。
 道によると、釧路管内では鶴居村を除く八つの自治体に35戸の畜産農家があり、大半が乳用種の雄を肉用牛として肥育している。道では今月19日から道内の稲わら使用状況を調べているが、釧路管内の35戸のうち、稲わらを使用していた畜産農家は合計4戸。このうち2戸は中国産の稲わらを、1戸は道内産の稲わらを使用し、農林水産省が使用自粛を求めている11都県産の稲わらを使用しているのは浜中町農協育成牧場だけだった。
 関係者によると、道内の畜産農家では、輸入物や道産の稲わらを使用することが大半で、コストが高い本州産はほとんど使用されていない。道東あさひ農協の原井松純代表理事組合長が「北海道でも発生とは驚いた」と話すほど、本州産稲わらの使用は珍しいという。
 しかし、浜中町農協は取引があった千葉県の業者から稲わらを購入。この業者が乳牛などを仕入れるため空のトラックで北海道に向かう際、宮城県などで稲わらを積み込み納入していて、同農協では産地などの把握はしていなかった。会見で高橋参事は「消費者や関係者に不安を与えてしまったことは申し訳ない」と陳謝し、「今後は行政の指示を受けながら対処したい」と述べた。
 今回は「汚染牛」という最悪の事態は免れたものの、風評被害が最も懸念される。問題の産地からは一切稲わらを購入をしていない標茶町農協の高取剛組合長も「関係機関の指導を受けながら適切に対処していくが、風評は気掛かり。生産者も消費者も冷静な対応をお願いしたい」と述べている。
 また、乳牛に対する風評も懸念されるが、稲わらに栄養価はほとんどなく肉質を高めるためのいわば「仕上げの餌」であることから、道の担当者は「乳牛に稲わらを食べさせることはない」と断言。汚染稲わらの影響も道内では限定的という見方を示している。

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