院内感染に細心の注意

宇部日報社 社会 2010年9月10日

 多剤耐性菌アシネトバクターなどによる院内感染が問題となる中、宇部健康福祉センター管内(宇部、山陽小野田、美祢市)でも、有床の医療機関が監視体制を強めている。年間五千件超の手術を行い、七百三十六床を持つ山口大医学部付属病院は、抗生物質の多用による耐性菌の出現を抑えるため、医師が強い抗菌薬を処方した際、届け出るシステムを十月をめどに導入するなど情報管理を一元化する。
 同病院では二〇〇六年に感染制御室を設置。専従の医師一人、看護師一人のほか兼務の看護師二人を配置。また検査部や薬剤部などと連携し十二人体制の感染対策チームを組織している。一九九九年に作成したマニュアルを随時、改定している。
 対策の基本は手洗いの徹底。入院患者に接触する前後に手をアルコール消毒する。血液や尿、便を扱う時は使い捨ての手袋やガウン、マスクを着用。内視鏡やカテーテルなど医療の高度化で体内に入る器具が増えていることから器具の滅菌の徹底にも努めている。多剤耐性菌が見つかった場合、患者を隔離し拡大を防ぐ。
 情報の共有も重視。感染が確認された際、院内の危機管理組織を通じて迅速に対策を講ずるとしている。
 それでも院内感染をゼロに抑えるのは困難という。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などが、一定期間内に同一病棟で数例検出された場合「院内感染」としているが、日常的に起こり得るという。
 同病院では二〇〇八年一月に長期入院患者一人からアシネトバクターが検出されたが、所定の対策を経て、院内感染を防いだ。
 多忙で治療を優先しがちな医療現場では、感染対策が後回しになりがち。特に抗菌薬を長期間、多用すると耐性菌が出現しやすい。抗MRSA薬など特定の薬剤を医師が処方した場合、病院に届け出るシステムを十月をめどに導入する。使用理由や量、期間を院内全体で把握し、適切な使用を徹底する。
 感染制御室の小坂まり子副室長は「見舞客もマスクをしたり、入室の前後で手をアルコール消毒したり、発熱などの症状がある時は見舞いを控えたりするように」と話す。
 一方、宇部健康福祉センターは七日、国の要請を受け、管内の五十七有床医療機関に院内感染防止を徹底するよう通知。多剤耐性菌による院内感染が疑われる場合、速やかに報告するよう呼び掛けた。現時点では同菌の院内感染は報告されていないという。

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