アマチュアの昆虫愛好家団体、釧路昆虫同好会(須摩靖彦会長)は、2004年度から釧路市の市街地の真ん中にある海跡湖「春採湖」の昆虫について基礎調査を行っている。同会では今年8月末現在で、1000種を超える昆虫類を春採湖畔で確認。その中にはかつて生息しなかったはずの外来種も多く含まれていた。同会は今後もさらに調査を重ね、今年度中に調査結果をまとめた本を出版するとともに、昆虫展や講演を通じ、春採湖の環境保全を広く市民に訴えていく。
同会は、四半世紀以上にわたり道東に生息する昆虫類について調査研究を続けている。地域に特化した昆虫同好会は国内でも珍しく、アマチュア集団ながら、研究結果などは中央の学者や研究者からも一目置かれている。同会では、地域ごとに生息する昆虫類を調査しているほか、最近では、釧路市内全域までに生息範囲を広げている外来バチ「セイヨウオオマルハナバチ」の調査なども行っている。
同会が調査を続けている春採湖は、雑木林や草原、ヨシ原などの自然が都市部と近接。野鳥や植物の研究が盛んに行われているが、昆虫類についての調査はこれまでほとんど行われていなかった。そのため、昆虫類の基礎データが少なく、どのような昆虫がどの程度生息しているかは知られていなかった。
同会では04年度から調査に着手し、これまでに1000種を超える昆虫類を確認した。調査では、環境省が準絶滅危惧(きぐ)種に指定している「マシュウイトトンボ」など希少な昆虫類を確認。その一方で市内全域に生息域を広げているとみられる外来バチ「セイヨウオオマルハナバチ」をはじめとする外来種も発見している。
特に春採湖南岸には北米原産の植物「オオアワダチソウ」にセイヨウオオマルハナバチが群がるという状況もあり、同会の中谷正彦事務局長は「(この状況は)将来の春採湖の姿かもしれない。春採湖の環境は山に比べると良いとは言えない。現状を知りどうやって守っていくかを考える時期」と指摘している。
同会は11月ごろまで、現地調査を続け、結果を分析。年度内には「春採湖の昆虫」(仮題)としてこれまでの成果をまとめるほか、昆虫展や講演会を通じて、昆虫の生態を通じ春採湖の環境保護の必要性を訴えていく方針だ。