梅の害虫 大発生の恐れ

紀伊民報社 地域 2010年8月28日

 和歌山県田辺市の平野部で今年も9月中旬ごろから、「アメリカシロヒトリ」(ヒトリガ科)の幼虫(毛虫)が大量発生すると予想され、田辺市梅振興室やJA紀南は、梅農家らに注意を呼び掛けている。ここ数年、秋になると大発生し、梅などの葉を食害して木を弱らせたり、周辺の住宅に侵入したりする被害が増加。生息域も拡大しており、関係者は対策に頭を悩ませている。

 アメリカシロヒトリは1年に3世代発生する習性があるが、毛虫は特に秋に多い。発生するのは6月ごろ、7~8月、9~10月で、多くの卵を産むため一気に増え、毎年秋には「第三世代」が大量発生する。第三世代は越冬のために、民家の床下など温かく雨や風が当たらない安全な場所を目指して移動する。越冬できない虫もあるため、翌春に爆発的に増えることは少ない。

 田辺市では5年ほど前から発生が確認され、3年ほど前から被害が目立ち始めた。特に秋津町や万呂地域、下三栖に多く、今年は中三栖や上秋津辺りまで広がっているという。

 JA紀南によるとこの虫は「都市型」の害虫と呼ばれ、夜間でも明るい民家近くや道路沿いに多く生息し、山中にはほとんどないという。成虫になると、明かりを求めて飛び生息域を広げる。

 幼虫は枝にクモの巣のような「天幕」を張り、葉を食害。木を「丸裸」にしてしまう場合もある。梅は落葉樹であるため、それで木が枯れてしまうことはないが、果実を作る栄養を蓄える時期に光合成ができないため、早期に葉がなくなると、その後の作柄にも影響するという。

 毛虫に毒はないが、体長4センチにも成長するため「家の中に入ってきて気持ち悪い」などと、市梅振興室に苦情が寄せられる。苦情は一昨年4件だったが、昨年は下三栖や秋津町、万呂を中心に10件以上に増えた。今年もすでに8月中旬ごろから「梅の木に幼虫が見られるので対策してほしい」などという要望が数件入っているという。

 田辺市やJA紀南は、葉に幼虫が集団生活をしている効果的な時期に一斉防除を呼び掛けたり、条件を満たす梅農家の防除に対して支援をしたりしている。

 アメリカシロヒトリは梅だけでなく、サクラやスモモ、柿なども好む。JA紀南は「梅農家には理解が進んできていて、早期防除をしてくれている。学校や道路沿い、民家の庭などにあるサクラの木なども対策しなければならない。地域ぐるみの取り組みが必要」と警戒している。

 市梅振興室は「虫の自然消滅を待てばこの先何年かかるか分からない。虫の発生密度を下げるため、いい対策を考えたい」と話している。

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