渡航自粛を【根室】

釧路新聞社 行政・政治 2010年8月25日

北方領土への渡航自粛を


ロシア側のビザ(査証)を取得した日本人観光客が北方領土・国後島を訪問していることが一部で報道された問題で、根室市の長谷川俊輔市長は24日、故郷である北方四島に自由に行けない元島民の声を代弁して遺憾の意を表明、「国に渡航自粛呼び掛けを徹底するよう要望したい」と話した。同日開かれた定例記者懇談会の中で述べた。 
 報道や根室市などによると、このツアーは福岡市の旅行業者が企画したもので、ロシアのビザを取得した日本人観光客8人と業者1人が23日から国後島を訪れているという。日本人グループによるロシアビザ取得の北方四島観光は初めてとみられている。
 日本政府は1989年9月の閣議了解で、「ロシア側の実効支配を認めることになる」としてロシアのビザを取得して北方領土に渡航することのないよう国民に求める「自粛要請」を行っている。
 ただし罰則規定がないことなどから、今年に入り日本製の水産加工機器が納入されている実態が明らかになったほか、7月には同じメーカーの技術者がロシアのビザを取得して島を訪問していたことも判明するなど、自粛要請は有名無実化している状態だ。
 北方四島を故郷とする元島民は平均年齢76歳。「帰りたくても帰れない」「自由に往来したい」との願いも空しく、島へ渡る手段は人数、回数が制限される北方墓参やビザなし渡航だけ。苦難と忍従の上に歯を食いしばり返還運動の先頭に立っている。
 長谷川市長は、同ツアーの事実関係を外務省に照会していることを明らかにした上で、「ツアーが事実だとすれば大変遺憾だ。四島を故郷にする元島民が自由に行けない状況にあるだけに、その心情を考えると残念でならない」と述べ、外務省を通じ、国に渡航自粛の徹底を図るよう申し入れる考えを示した。
 また政府も同日夕、仙谷由人官房長官が同ツアーの事実関係を確認した上で、業者に厳重抗議する考えを示した。

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