伊勢湾フェリー(本社・鳥羽市)の鳥羽伊良湖航路の存続を話し合う、鳥羽伊良湖航路存続対策協議会は20日開いた4回目の協議会で、現経営陣らによる株式取得や親会社の債権放棄などを柱に再建を図る存続案で合意した。これに伴い同社の経営は債務超過の状態から脱する。今後は関係自治体の支援、経費削減や利用促進などを並行して経営安定化を目指す。同社は23日にも中部運輸局への航路廃止届けを取り下げ、運航を継続。早ければ来期の黒字転換も目指す。
今回の経営再建では親会社の近鉄、名鉄が50%ずつ保有する伊勢湾フェリーの全株式86万4000株を1株1円で売却。9月末で経営から完全撤退し、福武章夫社長ら経営陣がそのまま会社を引き継ぐことになる。
取得割合は現経営陣が過半数を、愛知、三重両県と田原、鳥羽両市で2割程度。残りは地元企業からも引受手を募る。新体制は10月1日付で発足する。
親会社2社はさらに、同社への貸付金5億円超のほか、従業員約70人をいったん退職させる際の退職給与引当金の原資約4億円を合わせた総額約9億円の債権を放棄。伊勢湾フェリーの債務超過は解消される見通しだ。
2県2市は経営陣の新体制移行に伴う経営基盤の安定化へ向けた運転資金などの直接支援も検討する。同対策協の小林清人座長(三重県政策部長)は「方式や金額など詳細は今後調整していく」にとどめた。
また、利用促事業への半額補助が得られる国の地域公共交通活性化・再生総合事業を活用してリピーター獲得を図るほか、県の港湾使用料や固定資産税などの負担減免も関係部局を通して詰める。
同社は18日の取締役会で航路存続を決め、23日に廃止届けの取り下げを申請することにしている。従業員はいったん解雇、退職金を支払ったうえで全員を再雇用。その後は人件費の2割削減で経営改善を図る。同社の2010(平成22)年3月期は1億3800万円の経常赤字で、対策協では同水準の経営状態なら改善が見込めるという。
対策協の存続方針が示され、経営破たんの引き金となる債務超過の状態は脱し、航路廃止の事態は避けられた。今後は経営基盤の安定化と並ぶ利用促進策の課題も山積、決して楽観視できないのが実情だ。
経営安定化には、現在も借入金に頼る運転資金をはじめ、原油高騰に伴うコスト高、「1000円高速」など道路優遇策への対応と利用客の確保と道は険しい。
記者会見で福武社長は「航路廃止でかえって地域の意識が高まったことに感謝する。いち早く黒字転換して2度と同じ事態は起こさないうようにしたい」と語った。
公的支援による民間フェリー会社の救済にも関心があつまった。小林座長は「国道42号の海上区間で、観光や物流、地域間交流のほか、災害時の輸送ルートの点から公益性にかなう」と根拠付けた。
コメントしてください。ログイン(
)