19年ぶりにかやぶき屋根ふき替え 県宝・旧渡辺家住宅

常陽新聞新社 地域 2010年8月19日

 岡谷市長地柴宮にある県宝「旧渡辺家住宅」で19日、かやぶき屋根のふき替え作業が始まった。同住宅を管理する市教育委員会の文化財保護事業で、1991年の解体復元工事以来、19年ぶり。市教委は「ふき替え技術も文化の一つ。大勢の方に見てほしい」と語り、現場周辺からの見学を歓迎している。

 旧渡辺家住宅は高島藩に仕えた下級武士の屋敷。18世紀中ごろの建築とされる。土間が広く、農家に似た間取りだが、座敷には武家屋敷の特徴が見られる。渡辺家は明治以降に3人の大臣を輩出。このうち渡辺国武(1846~1919)は県内出身者初の大臣となり、第2、4次伊藤内閣で大蔵大臣を務めた。
 かやぶき屋根のふき替えは事業費800万円。北野建設(長野市)が受注し、中南信唯一の職人集団「茅葺信州」(伊那市、米山智明社長)が施工する。痛みが激しい北面は全面ふき替えで、屋根の厚さ45cmの3分の2程度を新しいカヤに入れ替える。ほかの面はくぼんでいる部分のカヤを抜き、新しいカヤを差し込む「差し茅」という作業を施す。
 使用するカヤの量は、同社が伊那市で採取した1000束(重さ約3.75t)。米山社長(33)は「かやぶき屋根は25~30年でふき替えます。すすで黒くなっているカヤは久しぶり。囲炉裏を使っている証拠ですね。虫もつかず腐りを遅らせることができるので、通常より5年は長持ちしますよ」と話していた。
 ふき替え作業は9月中旬まで。30~70代の職人4人が午前8時から午後5時まで作業しており、現場周辺の道路から見学できる。市教委は「昔は隣近所で協力し合い、かやぶき屋根をふき替えていた。文化の一つとして見てほしい」と呼び掛けている。

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