神功皇后の伝説を今に伝える古代米の収穫が十八日、宇部市船木新町で行われた。船木総鎮守・岡崎八幡宮(宇津見光則宮司)のお神酒に使われる酒米・早米(そうまい)で、極わせ種。田植えの時期はほかの米と同じだが、盆過ぎには例年収穫される。どの米よりも実りが早い。
神功皇后は十四代仲哀天皇が亡くなった後、朝鮮半島に出兵するなど二〇一─二六九年まで政事を執り行ったとされている。大阪に戻る際に、お手植えになった米でお神酒を造り、神前に奉納したのが、この地の酒造りの始まり。大阪市の住吉大社には「皇后、米の作り方を習い帰らる」と故事が伝わっている。
岡崎八幡宮は、全国でも四社しかない清酒醸造を許されている神社。もともとは、守護大名だった大内義弘が一三九六年に同宮に神田を寄付。毎年旧暦の二月に苗を植え、六月中に収穫。戦前までは年二回醸造していたという。
現在は年一回だけの醸造で、米作りは縄田全甫さん(66)が約二アールの田で請け負っている。ほかの稲よりも早く実るため、穂が実る時期はスズメたちに狙われないように網で大切に保護。稲が長く硬いせいで雨や風の影響を受けやすいが、今年は倒れることもなく、稲穂もたわわに実っていた。
酒造りは九月下旬から宇津見宮司が自ら仕込む。宇津見家に代々口伝えで継承されてきた室町時代からの製法。酒酵母ではなく、生米と炊いた米を一週間ほど水に漬けて得た乳酸菌を用いる。酒米の出来具合や気候で毎年味は異なり、辛ければ「おとこ酒」、甘ければ「おなご酒」と称し、十月の秋季大祭などで参拝者に振る舞っている。