「いばらき腎バンク事務局」(つくば市、筑波メディカルセンター病院内)と、筑波大学(同市)の学生グループが共同で、臓器提供について考えてもらうためのDVDを制作した。学生の目線で一般の人に分かりやすい内容に仕上がっており、学校や公共機関などでの活用を検討中という。同バンクの大河内信弘理事長(筑波大学教授)は「一般向けのメディアは日本でも初めて。臓器移植に関して考える入口になるのでは」と期待を寄せている。
DVDのテーマは「話そう 大切な人と」(20分)で、100枚制作した。臓器移植の流れをドラマ仕立てにし、専門用語やドナーカードの使い方などはアニメを使って説明している。両親と中学2年と小学5年の兄弟の4人家族。交通事故で脳死状態となった兄の定期入れから臓器提供意思カードが見つかる。臓器移植コーディネーターから移植について説明を受けた後、家族がそれぞれの思いを話し合うというストーリー。
制作したのは同大学の学類横断の学生集団「賢謙楽学」メンバーのうち12人。医学・看護のほか芸術、工学システム、生物、社会学類の学生が参加。シナリオ作りをはじめキャラクター作りやジャケットのデザイン、カット割りなどにも参加した。DVDをより効果的に使ってもらおうと取扱説明書も作成した。
学生への制作依頼は昨年11月。学生たちは臓器移植法の現行法や改正法、臓器移植そのものについて何度となく勉強会を開いたという。討論を繰り返すうちに、「臓器移植については一概にこうした方がいいとは言えない。しかし、臓器移植について知ったり考えたりすることは、すべての人にとって大切なことではないか」と考えるようになったという。
代表の千原尉智蕗さん(同大学医学郡4年)はシナリオやセリフを考える中で「考えることは大切だが考えるだけでなく、自分がどう考えたかについて家族と話し合うことが大切」という結論に至ったと明かし、「1人でも多くの小中学生がこのDVDを見て、家に帰って両親と会話をしてもらい、関心を高めるきっかけになれば」と話す。
同腎バンクは1989年12月設立。県内の腎不全対策、腎臓移植を推進するための普及、啓発活動を行っている。95年以降の県内の腎提供数は13件で、献腎移植を受けられた患者数は36人。県内で腎臓移植希望登録者数は307人(5月31日現在)で、現行の献腎移植システムでは提供された腎臓は同一県内の移植希望者に役立てられるケースが多くなっているという。
大河内理事長は「一般の人に広く知ってもらい、考えてもらうために制作してもらった。日本は死を隠してしまう風潮があるが、若い人に特に見てもらいたい」と話している。
完成したDVDは、学校や各種団体での活用、医療機関の待合室や公共機関などでの放映を検討しているという。また、ダイジェスト版のネット配信なども計画している。
問い合わせは、いばらき腎バンク事務局(電話029・858・3775)まで。