山口大工学部の技術専門職員、岡田秀希さんは、視覚障害がある中学生が理科実験で使う電圧・電流計を開発した。手で触って直感的に読み取ることができ、安価に簡単に作れるのが特徴。二学期から県内外の総合支援学校の授業で教材として使われる予定。
中学理科の物理・化学系を学ぶ「第一分野」で、回路を流れる電流を、計測器を使って測る実験テーマがある。視覚障害がある生徒用の教材としては、これまで測定値をモールス信号のように音の長短や高低で示す音響式の計器が使われてきた。しかし、音の聞き分けに習熟が必要で、授業では実用的でなかった。市場が限定されているため、現在は生産が停止しており、故障しても修理不能な状態だった。
最近は、音声でデジタル値を読み上げる技術も可能だが、現場の教員から、生徒が測定したという実感や達成感を得にくいとの声があった。
下関南総合支援学校の教員の要望を基に岡田さんが新計器を開発。プリンターなど小型精密機械に使われている「ステッピングモーター」を使い、電流が流れるとモーターがピンを押し出し、指針が測定値の目盛の位置を指す仕組み。アナログ式で、指で触れても指針が動かず、生徒がじっくり測定できる。
電圧計と電流計を開発。スイッチを切り替えることで各五ボルトまたは十ボルトまで、二百五十ミリアンペアか五百ミリアンペアまで計測できる。四千円弱の費用で理科教師であれば簡単に製作できる。
全盲者を含む現場教員十人に試作品を使ってもらったところ正確な値が測れ、教育効果も高いと評価された。一月に佐賀県で開かれた弱視教育研究全国大会で発表した際にも反響が高かった。
二学期の授業から同学校や他県の総合支援学校で試験導入される。
岡田さんは「現場のニーズに沿った計測器ができた。生徒たちの学びに役立ててもらえれば」と話した。