国の登録有形文化財2つ 滝川氏の尽力実る

東愛知新聞社 文化 2010年8月7日

 国の登録有形文化財の制度を生かして、地域の歴史遺産を後世に残す運動に尽力している社会福祉法人「一誠福祉会」の滝川一興理事長=豊橋市八町通5=はこのほど、同市八町通3の安久美神戸神明社の登録を実現させた。あわせて在学中野球部エースとして活躍した自身の思い出が詰まった東大野球場の登録も成し遂げた。

 滝川さんは2年前、台風で半壊状態となった同市湊町の湊町神明社弁天堂を国の登録文化財として蘇らせることを決意。氏子らに働きかける一方で、自身も多額の費用負担を行い、修復を施した上で登録に道を開いた。
 安久美神戸神明社は平安時代創建と伝えられ現在地には1885年、吉田城内から現地に移転。「文化財登録することで、豊橋市に価値ある歴史遺産があることを広く世に知らしめたい」の思いから決めた。
 文化財登録にはきちんとした図面が必要であることから、知人で工学博士の三舩康道さんに依頼して、あらためて実測して図面をつくってもらった。
 三舩さんは調査のなかで同神明社の本殿は伊勢神宮の社殿を強く意識した形式であることのほか、1930年築造の神庫については「防火建築として鉄筋コンクリートを用いた比較的早期の事例」と記した。地方への鉄筋コンクリートの普及を知る上で貴重な建築物という。
 一方、東大野球場は本郷キャンパスにあり、1937年の築造。1934年生まれの滝川さんはこの野球場で投手としての腕を磨き、東京六大学では東大のエースとして後にプロ入りした徳武定之選手(早大)らと対戦した。
 三舩さんによると、設計は後に東大総長を務めた内田祥三で記者席や貴賓席なども計画されており「当時の社会状況と野球熱がうかがい知れる」とする。
 滝川さんは「近代野球の原点の1つが、登録されることは日本スポーツ史のなかでも画期的なこと。末永く守り続けてほしい」と話す。

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