病院勤務医の過重労働を少しでも軽くし、地域の救急医療体制を維持しようと、宇部市医師会(猪熊哲彦会長、三百十八人)が、当直の応援に乗り出した。今月から二次救急病院の宇部興産中央病院(福本陽平院長、四百六床)で、外科の開業医四人が試行的に実施。九月までの半年間でノウハウを蓄積し、周辺の病院にも広げていく考えだ。
産科・小児科・麻酔科などの医師不足や救急患者の受け入れ辞退、患者側の安易なコンビニ受診などが全国的に社会問題となっている。山口大医学部付属病院を抱え、医療資源に恵まれた宇部市にとっても無縁ではない。
以前から開業医が関連病院などで個人的に当直を手伝うケースはあったが、医師会では勤務医の負担を軽減するため、全会員を対象にアンケートを展開。「すぐにでも協力していい」と答えた十人のうち、地域性などを考慮して当面、若松隆史医師(ときわクリニック院長)、高田伸一医師(高田外科院長)、栗栖敏嘉医師(栗栖クリニック院長)、原田昌和医師(原田外科医院副院長)が協力することにした。いずれも四、五十歳代。
宇部興産中央病院は昨年度、月平均百五十五台(うち入院は59%)、休日・夜間だけでも百六台(同55%)の救急車を受け入れた。二次救急の当番日に限らず、市内外から多くの患者が運び込まれているのが実情だ。
当直は基本的に外科系か内科系の医師が一人。高度な医療が必要な場合は、専門医を呼び出す仕組みで、通常九人の医師が待機している。多い日は夜間だけで八人が救急搬送されることもあり、当直医は多忙を極める。
医師会病診連携委員長でもある同院の古賀まゆみ小児部長は「当直医は翌日の勤務を含め約三十六時間ぶっ通しで働き、疲労困憊(こんぱい)する。月に二回程度なので、どうにか持ちこたえているのが現状」と打ち明け、「開業医は初期治療の能力が高く、複数患者の受け入れ時などに心強い」と“助っ人”に期待する。
応援は急患の多い午後七時から翌日午前零時までの五時間。医師会救急蘇生(そせい)委員会担当理事で、いち早く当直応援を体験した若松医師は「初めての応援で多少戸惑ったが、医師や看護師の動きが機敏で、二次救急の大変さがよく分かった」と感想。自身は救急の現場に七年間身を置いたことがあるため、当直に抵抗感はなかったが、内科系の医師や開業して長期経過している場合は、慣れるのに時間がかかるかもしれない。
「怖いのは医療過誤によるトラブル。当直応援は経験や力量、心身の健康度・体力などに左右される。そのため、開業医の実情も考慮して、手挙げ方式で病院と医師が個人契約するのが好ましい」と持論を語った。