春に沿岸定置網で取れるトキシラズ(シロサケ)を釧路ブランドで売り出そうという取り組みが今年からスタートするが、ポイントとなるのが「活締め」。魚が生きているうちに血を抜くため鮮度が長続きし、身の色もよくなるとして、取り組む漁業者が増えている。釧路水産試験場でも、サケの脱血方法や高品質なサケの安定供給に向けた研究を行っており、消費低迷で魚価安傾向が続く中、魚の高付加価値化が注目されている。
魚の活締めは以前から行われているが、盛んになってきたのは4│5年前からで、タラやカレイ、ホッケなど多くの魚種で行われている。
方法は、水揚げした船上で魚の体に刃を入れるのだが、その場所はエラや尾、延髄、せき髄などさまざまある。これらは経験的に行われてきたもので、科学的なデータがなかったことから、釧路水試では最適な脱血方法の研究を2008年度に着手。これまでにエラ1カ所に的確に切れ目を入れれば十分に脱血できることが分かった。また、活締めの効果として、生鮮だけでなく、筋子など加工品の品質が向上する可能性があることも分かってきたという。
釧路水試ではサケの高品質化と安定供給のシステム確立を目的とした研究を10年度まで行っているところだが、新年度は標津漁協の協力で活締めの装置を船に搭載し、1日に500│600匹単位の大量の秋サケフィレーを加工する実証実験を行う。
一方、釧路地域ブランド推進委員会(委員長・濱屋重夫釧路商工会議所専務)では、釧路産トキシラズのPR販売を今年5月からテスト実施する。トキシラズは産卵期に入る前の春に沿岸定置網で取れるため、脂の乗りがよく高級魚として扱われるが、釧路市東部漁協によると近年は漁獲量が増えたものの単価が下がり、盛漁期の5月のキロ当たり平均単価は07年の1830円から昨年は813円にまで下がった。こうした状況から同漁協では2、3年前から「今の消流に乗り遅れてはいけない」と、組合挙げて洋上活締めを検討し、今年から6月をめどに簡単に活締めができる処理機を全6船に導入することを決めた。今後は認定マークを作り、魚にタッグなどをつけて売り出すことを検討している。
釧路町の昆布森漁協でも1カ統が3年ほど前からトキシラズの活締めに取り組んでいるが、同漁協では「最初はそんな大変なことをやっていられないと言っていた漁業者も、実際に値段に差がついてくると目を向けてきた。ただ、いろんな所でやるようになってきたし、漁期終盤の脂の乗りが悪いものまでトキとして売れば、全体の価値が下がりかねないので見極めが必要」と指摘している。