「みんなで考えるまちづくり」セミナーが18日、酒田市の希望ホールで開かれ、県内外のまちづくりの実践者らの講演を通して「今あるもの」を生かした活動の必要性を学んだ。
酒田には往時の繁栄を伝える旧料亭など歴史的建造物や山居倉庫などの観光名所が数多くあるものの、「まちづくり」には生かし切れていない。セミナーは、地域資源などを活用したまちづくりの先進事例を学ぶことで、関係団体・行政などがまちづくりに対する思いを共有しようと、県と酒田市が主催。庄内全域から約100人が参加した。
はじめに、同市中心商店街に東北公益文科大生が運営する交流施設「酒田まちなかサロン」を開設し、活気ある商店街づくりに取り組んでいる公益大講師の小地沢将之さんが「まちづくりのプロジェクトと地域の自律」と題して講演。地方都市のまちづくりで典型的な誤りが▽イベント至上主義▽学生至上主義▽古典的市民参加型至上主義―と説明。「こうしたものは日常的な集客につながらず、商店街は疲弊する」とした。
また、「庄内では、コミュニティ振興会の偏重によって地域マネジメントへの意識が薄らぐケースがよく見られる」と指摘。これからは、酒田まちなかサロンのような日常生活の強化が大事との認識を示した。さらに、「地域にとって大学はまちづくりを進めるパートナー。地域を永らえる社会システムの構築こそ大学の使命」と語った。
続いて、新潟県村上市の町屋を近代化から守ろうと「村上町屋商人(あきんど)会」を結成し、地元資源を生かした多様な企画で同市を年間20万人が訪れるまちにした吉川真嗣さんが、「城下町村上・市民パワーによる地域活性化への挑戦」をテーマに講演。これまでに取り組んだ「町屋の人形さま巡り」「むらかみ町屋再生プロジェクト」や、現在も継続している「町屋の外観再生プロジェクト」などを紹介し、▽その土地にある古いものを最大限、生かす▽最初は低予算で行い行政や経済界などに頼らない▽市民の力で取り組む―の大切さを訴えた。
また、「企画を立てるときは数人。大勢になるほどつまらないものになる」とし「成功させるには『できる範囲で』では駄目。甘えが出て失敗し、人は離れていく。最初だからこそ一定の成功をしないと続かない。とにかく最初が肝心」とアドバイス。庄内地方が「食」をキーワードに地域おこしに取り組んでいることに触れ、「まちを思う力がそのまちを生まれ変わらせる。お互いの地域が協力してやり抜こう」と呼び掛けた。