面打ちの経験が生きましたよ―。豊橋市の魚町能面同好会はこのほど、吉田文楽保存会のために、能面の面打ち経験を生かして、文楽に使う木偶(でく)人形5体をボランティアでつくった。
会員の太田安雄さん、村上和義さん、原田ちよ子さん、田中成治さんの4人が昨年12月から3カ月がかりで制作した。
昔ながらの工程を踏んだ手作り。ヒノキの角材に下書きした後、ノミで荒削りをして次いで彫刻刀で細部まで彫り上げる。続いてサンドペーパーで磨き上げた後、ニカワ液を使って和紙を頭全体に貼り付け、胡粉(こふん)を何度も塗り重ねる。
最後にアクリル絵の具による絵付けを行って完成。全員が初めての作業とあって、魚町安海熊野神社の集会場で、吉田文楽保存会から借り受けた人形や、会員が独自に入手した資料を前に、互いにアドバイスしながら制作に励んだ。
当初、吉田文楽保存会の要望は既存の頭の修繕だったが、すでに100年以上もの使用でぼろぼろになっており、同会が「これを機に新しく作りましょう」と提案し、受け入れてもらった。
NPO法人の三河三座も協力し、ヒノキの角材はじめ、材料費すべてを負担した。
完成した頭はいずれも男で、町人3体ほか僧侶と武士1体ずつ。修繕要望の4体に、原田ちよ子さんが新たに僧侶をつくって加えた。
「面打ちの経験が生きたせいか、思いのほかスムーズにできました。能面と違って顔の個性を出すのが楽しかった」と田中さんは楽しそうに振り返る。
文楽と能という、ともに伝統芸能の愛好者同士による信頼と協力でできあがった木偶人形。完成した頭は4月にウエステージ豊橋で開かれる三河三座総会で引き渡される。
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