南アで捕獲した鹿のペットフード 首都圏で試作品販売

常陽新聞新社 地域 2009年7月3日

 鹿による農林業被害が拡大する中、伊那市は生息数の多い南アルプスで捕獲した鹿の肉を有効活用するためペットフード化の事業を進めている。神奈川県の業者に鹿肉を提供し、業者が試作品を作り、首都圏のペットショップで販売を始めた。市農林振興課は「今年度も猟友会の協力を得て進め、ぜひ軌道に乗せたい。来春から本格的に販売が出来るようになれば」と話している。
 市によると、捕獲した鹿は通常、その場で埋設処理しているが、ハンターの捕獲意欲を高めるためにも鹿肉の有効活用を模索。2007年度から事業を始めた。食肉利用のための解体施設などの整備も検討したが、製造上の規制が厳しいこともあり、取り組みやすいペットフードへの利用に着目した。
 08年度は、長谷猟友会の協力を得て、12頭分、約100kgの鹿肉をペットフード加工業者「トランスティックサービス」(座間市)に提供した。業者は1袋50gの試作品を製造。パッケージには、南アの鹿をアピールするシールを張り、ドッグフードとして販売しながら消費者の反響を見ている段階という 。鹿肉は低カロリー、低脂肪で「鹿肉自体はペットフードでは売れている」(同社)という。
 市は事業を推進するため08年度、鹿肉を保存する冷凍庫1台を購入し、長谷総合支所車庫棟に設置した。
 事業を軌道に乗せるためには、ハンターの高齢化、現地での解体や運搬といった労力に見合った肉の販売収入の確保、安定供給など課題も少なくないが、同課は「少しでも肉を活用し、駆除のモチベーションの向上を図りたい」と話している。
 08年度の市内の野生動物による農作物被害統計によると、鹿の被害の増加が目立つ。被害量は99.5t(前年度41.5t)、被害額は2200万円(600万円)と大幅に増えた。捕獲数は長谷地区を中心に475頭(同447頭)。

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