諏訪東京理科大学(茅野市)とDVD素材の樹脂加工会社・マテリアルサイエンス(東京都)グループは2日、産学で共同研究開発した、光合成促進機能を持つ農作物栽培用のプラスチックフィルムとネットを同大学で発表した。新技術を利用した素材は農家の栽培で収量、品質面などで好結果が得られたことから、来年4月から販売を始める予定。関係者は「日本の農業振興につながる新資材として発信したい」と期待している。
開発したプラスチックフィルムとネットは、農作物のハウス栽培でビニールの代わりとして覆ったり、果樹にかぶせて使用する。太陽光の波長を農作物の成長を促進する長波長域に改質し、照射する機能を持たせているのが特徴。太陽電池の発電効率の増加に使用される光変換素子の一つを、耐光性・耐久性のあるプラスチックフィルムやネットに添加することで実現した。農作物の品質低下などに影響する温暖化により地球上に放射される短波長域の紫外線も吸収するという。
太陽エネルギー利用について長年研究している同大学の谷辰夫教授とマテリアルサイエンス・ナガノ(本社・岡谷市)などが共同で研究開発を進め、同社が製造販売する。
栽培は、昨年夏から諏訪地方や東筑摩郡波田町、山梨県北杜市などの約15農家が野菜や果樹など10品目で実施。通常のハウスと新資材で覆ったハウスで農作物を栽培し成長の比較などをした。この結果、早期収穫や収穫量の増加、糖度などで品質が向上し、好結果が得られたという。農薬使用量削減による安全な農作物や生産コスト低減などにもつながると期待している。
発表会には諏訪地方の自治体や農協、商工会議所などの関係者も出席。茅野市、富士見町、原村の実践農場5カ所を巡り、中沢富夫マテリアルサイエンス・ナガノ社長や栽培農家から作物の生育状況について説明を受けた。
原村大久保のセロリ栽培農家永田せつ子さん(55)は「定植して1カ月半ほどたつが、(ビニールハウスで栽培しているセロリと比べ)茎が太く葉の色も濃く収穫が楽しみ。ハウス内もやや涼しい」。同村中新田で40年間ホウレンソウを栽培する小林禎子さん(75)は「5日ほど早く収穫ができ、味も良かった」と話した。
中沢社長によると「これまでなかった技術」で、資材と栽培方法について東京理科大学とマテリアルサイエンスが特許を出願中。ビニール資材などに比べ4割ほど割高になるというが、来年4月から県内を中心に年間100トンの販売を目指している。谷教授は「農業と工業の融合が農業の将来の役に立てればうれしい」と話していた。