迷いクジラ入り江から「脱出」

紀伊民報社 社会 2009-06-01

 田辺市新庄町、内の浦湾に迷い込んだマッコウクジラが1日早朝、入り江から外に出て田辺湾の神島付近まで移動した。直線距離で約3キロ。専門家は「偶然出口を探し当てたのでは」と指摘した上で「耳の機能が回復した可能性はある。完全に回復すれば、餌を求めて外洋へ出て行くだろう」と話した。
 市の対策本部によると、見守りを続ける職員が交代する5月31日午後10時ごろ、クジラの行方が分からなくなった。周辺を探していたところ、1日午前5時ごろ、内の浦湾から直線距離で約4キロ先にある島「トナカ」(通称)近くで泳いでいるのが見つかった。散歩中の男性が発見して市に連絡。船で近づき、職員が迷い込んだクジラと確認した。
 クジラは1日午前10時現在、神島付近を泳いでいる。頭は沖や内の浦湾を向いていて一定ではないが、時折体を沈めるなどして元気よく泳いでいるように見える。
 対策本部の支援アドバイザーを務めていた日本鯨類研究所(東京都)の石川創次長(49)は電話取材に対し「狭い内の浦湾に再び入るよりは、大きな外洋へ出て行く可能性は大きくなったといえる」と述べた。
 方向感覚をつかさどる耳に異常があると指摘していた点については「ここ数日、動きが活発になっているのなら、自然に回復しつつあるのかもしれない」との見解を示した。

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