ヒジキ復活へ 漁師が磯磨く

紀伊民報社 経済 2009年5月29日

 南部湾や田辺湾では、近年激減している海藻のヒジキを復活させるため、地元漁師が自治体と協力して磯の環境整備に取り組んでいる。ヒジキが生えやすいように磯を磨いたり、増やすための実験をしたりしている。県水産試験場は「対策の難しさはあるが、それぞれの場所にあった方法を地元の皆さんと一緒に考えたい」と話している。
 みなべ町では毎春、ヒジキの水揚げをしているが、近年は激減、禁漁にして保護している地区もある。このままではヒジキがなくなってしまうと紀州日高漁協南部町支所の組合員が中心となって今春、磯焼け対策部会を設立した。町や県振興局、県水産試験場の職員、全国磯焼け対策協議会会員も参加してサポートしている。
 25日には漁師ら約90人が集まり、みなべ町堺、通称マエイソの約700平方メートルでヒジキの生育実験を始めた。6区画に分け「徹底的に磨く」「藻を食べるウニだけ捕る」「何もしない」など区画ごとに条件を変えた。すべての区画には、成熟したヒジキの母藻を入れた袋を設置、種が自然に落ちるようにして、発芽や成長の違いなどを調べる。
 昨年は県水産試験場が漁協の協力で、同じ場所を磨いて母藻を設置して実験したが、発芽はしたものの秋に魚の食害にあってほとんどヒジキが残らなかったという。今秋は食害対策も考える。
 田辺市新庄町の磯では2005年から、県水産試験場が地元の新庄漁協の協力で実験を続けており、この磯では磨くことでヒジキが生えやすくなることを突き止めた。まったく姿が見えなかった所にも少しずつヒジキが復活してきている。そのため、地元漁師らの協力で毎年磯を磨いており、今年も26日に行った。今年は昔多く茂っていたという鳥ノ巣の磯にも実験場所(約30平方メートル)を新たに増やした。
 田辺湾沿岸では三十数年前まで、どこでもヒジキが生えていたが、環境の変化に伴い姿を消す海域が出てきた。近年湾内がきれいになり、一部で回復も見られている。しかし、ヒジキの種は、親藻を中心に直径1メートルほどにしか広がらないため、全滅した所は人工的に増やす必要があった。
 県水産試験場の山内信研究員は「近年、国内産人気でヒジキの価格が高騰しており、復活を目指す良い機会。海藻の茂る海を取り戻すため、漁師が立ち上がろうとしているので、県としてもできる限り後押ししていきたい」と話している。

紀伊民報社のサイトへ

最新マップ