がん患者らに寄り添い

東愛知新聞社 医療 社会 2018年2月12日

豊橋ホスピスを考える会の学習会20年

 終末期のがん患者らの心と身体に寄り添う市民団体「豊橋ホスピスを考える会」(会長・佐藤健豊橋医療センター副院長)が、市民と一緒にホスピスを学ぶ定期公開学習会を始めて20年が過ぎた。その間、豊橋市飯村町の豊橋医療センターに東三河で唯一の緩和ケア病棟ができ、年間入院患者数は2015(平成27)・16年度と2年連続で日本一になるまでに成長した。患者やその家族に切れ目のない支援をするため、病院は地域と連携し、患者を支え合うまちづくりがさらに求められている。
 先月27日、同医療センターで本年度最後の定期公開学習会があり、がんで家族を亡くした人や鍼灸(しんきゅう)師ら10人以上が参加。佐藤医師がホスピスの歴史や役割、さまざまな患者とのエピソードを話したのち、急速に進む高齢化社会の中で現在ホスピスが抱える課題として「高齢化に加え、認知症との合併の患者が増えた。自分ががんという切実な状態を理解できない人もおり、今までと違う形のコミュニケーションが必要になってきている」と述べた。
 また、人生の最後をどう過ごすか、多様な選択肢がある中、「国が進める在宅医療は、核家族化が進み家族の介護力がどんどん低下する現代では、難しくなってきている。患者や家族を支えることを本気で地域が考えないといけない」と地域連携の必要性を訴えた。
 学習会は、誤解や偏見の多いホスピスについて、地域住民や医療関係者らに知ってもらおうと1998(平成10)年に始まった。以来、年間4~6回ほど、佐藤医師やスピリチュアルケアワーカー、弁護士、心理療法士らが終末期の症状、症状コントロール、家族へのケアなどを題材に講演などを行っている。
 ホスピスは90年に施設認定が国内で始まり、その後、飛躍的に増加。日本ホスピス緩和ケア協会によると、緩和ケア病棟は全国で394施設(17年度)ある。
 豊橋ホスピスを考える会は「豊橋にホスピスを」と、主婦や看護師らが94年に発足。13万を超す署名を集めるなどの活動が実り、2002年、同市中野町の旧国立豊橋病院に4床が設置された。その後、同病院と国立豊橋東病院が統合、05年にできた同医療センターは24床を備える緩和ケア病棟がつくられた。現在は48床に拡充。同協会加盟施設の中で最も多い年間679人(16年度)が入院するまでに成長した。
 「終わりの住処」というイメージから、最後までその人らしく人生を過ごす医療を提供する場となった緩和ケア病棟。患者とその家族に質の高いケアを切れ目なく行うため、在宅緩和ケアを提供できる診療所などと連携するとともに、ホスピスを発展させるため市民らに情報提供を行っていく必要がある。
 佐藤医師は「患者数日本一になり、さらに地域へアピールし、病院間、病院・診療所連携、市民や教育者との連携をさらに強めていきたい」と話している。
 【緩和ケア】ホスピスケアとも言う。主にがん患者に対し、痛みや呼吸困難など身体の痛みを薬で和らげ、心の苦痛を心理療法士らがケア、その人らしく過ごせるよう医療スタッフが援助すること。従来、終末期の患者が対象になっていたが、近年ではがんが見つかった時期から、療養生活の質をより良いものにしていくため取り入れることが推奨されている。

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