岸洋子さんゆかりのピアノ寄贈

荘内日報社 未分類 2017年5月18日

 酒田市出身のシャンソン歌手、故岸洋子さん(1934―92年)に縁のあるアップライトピアノ1台が17日、市に寄贈された。寄贈したのは、岸さんのいとこで前田製管(同市)の相談役、前田直己さん(71)=同市上本町。寄贈を受け市はピアノを希望ホールロビーに設置、より多くの市民から見てもらうことで「音楽の街・酒田」の機運醸成を図っていく。

 岸さんは同市八軒町(現新井田町)生まれ。小学5年生の時、同市名誉市民の故加藤千恵さん(1904―91年)に師事し声楽を始めた。県立酒田東高、東京芸術大声楽科卒業後、仏国の歌手、エディット・ピアフのレコードを聞いたことをきっかけにシャンソンの道に進み61年、「たわむれないで」でレコードデビュー。64年に「夜明けのうた」、70年に「希望」でそれぞれ日本レコード大賞歌唱賞を受けた。高熱に侵される「膠原(こうげん)病」と闘いながらもシャンソンをベースにした国民的ヒット曲を次々と発表し、多くのファンを魅了した。

 一方、76年10月に発生した酒田大火の後、生家が焼失したにもかかわらず、復興のためのチャリティーコンサートを全国各地で開き、物心両面で市民を勇気づけた。92年12月、58歳の若さで亡くなった。

 今回寄贈したピアノは小野ピアノ「ホルーゲル」で、前田さんの姉・藤井美里さん(76)=都内在住=のため、父母が50―60年前に購入したもの。岸さんは東京芸大の学生時代、夏休みや年末年始休みなど長期休業で帰省した際、週に数回は前田さんの自宅を訪ね、美里さんにピアノを教えていたという。「姉は3、4年ほど指導してもらったようだ。私も教えてもらったが、才能がないようで駄目だった」(前田さん)と。これまで自宅2階の踊り場付近に置いていた。

 希望ホールロビーで行われた贈呈式では大勢の市民らが見守る中、前田さんが矢口明子副市長に目録を手渡して「ピアノが日の目を見たことがうれしい。多くの市民から見てもらうことで岸さん本人も喜ぶと思う。ぜひ活用を」と述べた。

 矢口副市長は「市民からもっと岸さんのことを知ってもらい、音楽の街をPRしていきたい」とお礼。引き続き、市内でピアノや声楽の教室を主宰する関矢順さん(酒田マリーンジュニア合唱団指導者)が寄贈を受けたピアノで「希望」を演奏。集まった市民らは口ずさんでいた。
 市教育委員会社会教育文化課によると、ピアノは岸さんのパネルや年表とともに、希望ホール事務室前に常設展示するという。

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