世界的なテノール歌手 市原多朗氏の名誉市民顕彰式

荘内日報社 文化 2017年2月14日

「酒田の音楽活動に良い影響を」

 酒田市出身の世界的テノール歌手で東京藝術大客員教授、市原多朗(本名・太郎)氏(67)=東京都台東区谷中四丁目=に対する同市の名誉市民顕彰式が13日、同市のベルナール酒田で開かれ、丸山至市長から名誉市民証や記念品などが贈られた。

 市原氏は1950年、酒田市生まれ。酒田商業高卒、東京藝術大大学院独唱専攻科修了。パリ・オペラ座やニューヨーク・メトロポリタン歌劇場など世界の主要歌劇場でオペラの主役を務め、「サムライ・テノール」とたたえられた。地元でも、昨年9月の全国豊かな海づくり大会式典行事(酒田市)などで天皇、皇后両陛下ご臨席の下、県民歌「最上川」を披露。「文化の隆盛に貢献し、郷土の誇りとして市民に敬愛されている」として昨年12月の酒田市定例市議会で、名誉市民の称号を贈る議案が全会一致で可決された。同市の名誉市民は、故人に対する特別名誉市民2人を含め8人目。

 この日の顕彰式には、加藤鮎子衆院議員や地元選出県議らの来賓、市や市内の芸術文化団体の関係者ら計約130人が出席。市原氏が八千代夫人と入場すると大きな拍手に包まれた。丸山市長が式辞で市原氏の功績を紹介し、「名誉市民として顕彰することは、市にとってもこの上ない喜び」と祝福し、市原氏に名誉市民証(賞状)、名誉市民章(メダル)、記念のブロンズ像、功労金(100万円)の目録をそれぞれ贈った。

 来賓祝辞に続きあいさつに立った市原氏は、幼少期に父親を亡くし、高校に入るころまで憔悴(しょうすい)の日々を過ごしたことを振り返り、「酒田商業高の自由な校風の中、担任の先生から『おまえのやりたいことをやればいい。おまえの人生を歩め』と教えられ、それが私にとって決定的なことだった。同じ時期に加藤千恵先生(名誉市民の声楽家で市原氏の恩師)に出会い、『太郎ちゃん、いいわよ。太郎ちゃん、いいわよ』と励まされ、心の支えになった。酒田に育てられた。酒田が好き」とした。

 世界中を公演で巡っていた時は、地元の文筆家の故・佐藤公太郎氏の「唐の大王鳥」など昔話のカセットテープを持参したというエピソードを紹介。「オペラが終わると興奮でなかなか眠れないが、必ず佐藤さんの昔話を聞きながら寝た。酒田弁を聞きながら寝るとくつろぎ、リフレッシュできた。今後、酒田の音楽活動に何か良い影響を与えられたらうれしい」と述べた。

 その後、市原氏は国内外のオペラ公演の映像を、解説しながら紹介。圧倒的な声量と繊細な演技で聴衆を魅了する姿に、出席者は引き込まれるように見入り大きな拍手を送っていた。

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