古座川町相瀬の物産店「一枚岩鹿鳴館」を管理している有限責任事業組合、古座川街道やどやの会は、シカ肉を使った新メニュー「鹿カツ定食」(850円)の販売を期間限定で始めた。関係者は「おいしく食べられることを知ってもらい、消費が増えれば捕る数も増えて、農作物の被害も減るのでは」と話している。
県内では近年、シカによる獣害が拡大し、深刻な被害を受ける農家が増えている。シカ肉は、主に焼き肉やすき焼きなどにして食べるが、イノシシ肉と比べるとあまり好まれず、利用について困っている状況があるという。
おいしく食べられる方法がないか、鹿鳴館が試行錯誤し、衣を付けて揚げると軟らかくなることが分かった。くせや脂っこさがなく、クジラ肉に近いという人もいる。
鹿カツ定食は、揚げたシカ肉110~120グラムを1口サイズ5枚に切っている。ハーブ塩を付けて食べるのがお薦め。ソースもある。ライスのほか手作りみそを使ったみそ汁、自家製の漬物、小鉢が付く。試験販売のため、期間は来年3月まで。
鹿鳴館では、開館当時から同じ考えで「鹿コロッケ」(1個200円)を販売している。しかし、材料はミンチにしたシカ肉が1割で、ジャガイモやタマネギなどが9割を占めるため、シカ肉の大量消費にはつながっていなかった。
鹿鳴館は「地元の主婦らにいろいろな食べ方があることを知ってもらい、家庭での消費が増えていけばと思う。簡単に作れるので、希望者には調理法を教えたい」と話している。
県も今年、ニホンジカ保護管理計画を策定し、猟期を延ばしたり、1日に捕ることができるメスジカの数を増やしたりするなど、対策に乗り出している。
県農業環境保全室は「肉の利用を考えているので、取り組みが地域の店から広がることを期待している」と話している。
県猟友会東牟婁支部によると、狩猟期間中のシカの捕獲数は、串本町では2005年度184匹、06年度206匹、07年度217匹、古座川町では05年度109匹、06年度232匹、07年度231匹と増加傾向にある。狩猟期間以外で、農作物の被害により有害駆除した数は、串本町で06年度33匹、07年度87匹、08年度90匹、古座川町で06年度85匹、07年度65匹、08年度が4~9月27匹となっている。