歌舞伎役者の中村吉右衛門さんらが5日、酒田市の黒森小学校(大泉則昭校長、児童66人)を訪れ、歌舞伎で用いる道具や楽器、舞踊などを紹介した。子供たちは練習してきた立ち回りを披露。吉右衛門さんによる「隈取(くまど)」の実演もあり、歌舞伎の世界にどっぷり漬かった。
小学生から高校生までを対象に、本物の舞台芸術に触れる機会を与えることで豊かな情操を養おうと、文化庁が行っている「本物の舞台芸術体験事業」の一環。単に観賞するだけでなく、出演者による演技指導を受けたり、共演したりする。
黒森小には8月、吉右衛門さん門下の中村吉三郎さんらが訪れ、あいさつや立ち居振る舞い、立ち回り、波幕といった道具の制作などを指導した。
この日は、幕が開くとステージ上に大きなガマガエル。動き出したかと思うと、中から吉右衛門さんが現れた。吉右衛門さんは、歌舞伎で使われるチョウや千鳥、ネズミなどの小道具、太鼓などによる効果音を説明。子供たちに歌舞伎独特の決めポーズ「見得」の切り方を指導した。人による「馬」も2頭登場し児童や教員が“乗馬体験”。今井愛菜さん(2年)は「ちょっと怖かったけど楽しかった」と感想を述べた。
また、児童らが8月に指導を受けた立ち回りの演技を披露。「いでや組まん」「げにもっとも」のせりふとともに刀を振り回し、最後に見得を切ると詰め掛けた保護者らから大きな拍手が起きた。吉右衛門さんは「(2月の)黒森歌舞伎公演のときに役立つとうれしい」と笑顔で語った。
その後、「勧進帳」より「滝流し」の演奏や舞踊「雨の五郎」「鷺(さぎ)娘」が、長唄囃子(はやし)連中によって実演された。
休憩時間には、吉右衛門さんが同校の斉藤淳教諭をモデルに隈取りの実演。赤と黒の顔料で代表的な隈取り「筋隈(すじくま)を描くと、子供たちは興味津々の様子で眺めていた。