鶴岡市大山の上池と下池が、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保護するラムサール条約に新規登録された。第10回締約国会議が開かれている韓国・昌原市で30日午後、同条約の事務局が鶴岡市に認定証を授与した。県内では初の湿地登録となり、上池と下池の豊かな自然が国際的な評価を受けたことに対し、地元からは歓迎とともに、観光客の増加による環境変化への懸念の声も上がっている。
新規登録されたのは、上池・下池のほか、化女沼(宮城県大崎市)、瓢湖(新潟県阿賀野市)、久米島の渓流・湿地(沖縄県久米島町)の4カ所。これで国内の登録湿地は37カ所、東北では5カ所となった。
上池と下池の登録湿地面積は計39ヘクタール。毎年、2―3万羽のマガモや1000―3000羽のコハクチョウ、国の天然記念物のヒシクイやマガンなどが飛来する水鳥の重要な越冬地で、環境省の「日本の重要湿地500」にも選定されている。
韓国で行われた授与式には、鶴岡市から神尾幸市議会議長、池を管理する土地改良区、大山自治会、大山観光協会、商工団体など地元の代表者ら8人が出席。認定証授与式で、同市の小林貢企画部長が「登録は市民にとって大変名誉なこと。一方で、今後の保全に対し大きな責任を痛感している。より多くの人に上池・下池の重要性を理解してもらうよう取り組んでいきたい」と英語であいさつした。
登録を受け記者会見した富塚陽一市長は「先人が残した自然が国際的に認められ、うれしい」と述べた。そのうえで「観光客が増えて自然破壊につながらないようにしなければ」と湿地保護に向けた取り組みの重要性を強調した。市は、下池東側の都沢湿地で進める「庄内自然博物園構想」の中で、両池と高館山を含めた自然保護活動を進める意向だ。齋藤弘知事は「登録により、人間と自然が共生する象徴的な地域として今後、世界に広く発信されていくと思うし、積極的にアピールしていく」との談話を出した。
地元の大山自治会は、登録を前にした10月中旬、町内会長ら約80人でラムサール条約登録の先進地でもある宮城県の伊豆沼・内沼を視察した。11月下旬には今回の登録の「報告会」を開催する準備を進めており、こうした先進地から関係者を迎え保全活動について学ぶことも検討している。認定証授与式に出席した同自治会の中浜裕会長は「誠に名誉で光栄。登録を機に地域の活性化、観光の町としてのさらなる発展を期したい。今後も自然との共生を図りながら、登録湿地に恥じない保全と活用を図っていきたい」との談話を出した。
周囲の高館山や八森山を含め長年一帯の自然保護活動に取り組み、今回の登録に向けた報告書作成に携わった尾浦の自然を守る会の太田威会長は「街中からこれほど近くに第一級の自然が残っている地域は、国内ではほかにない。ラムサールの登録はとてもうれしいことだ」と喜ぶ。一方で、希少な植物やチョウを持ち帰る人が後を断たず、上池のハスの観賞に訪れる観光客が残すごみの問題などを指摘し、「国際的に評価された自然を地元で再認識し、今後は行政、自治会、土地改良区の関係者が互いに助け合い連携して環境の保護に努めなければ。子供たちを中心に自然の豊かさや大切さを伝える観察会を積極的に開き、環境保全への意識を高めていきたい」と話した。