県は農産物に深刻な被害をもたらすイノシシとシカを、食肉として特産品化する方針だ。来年度の予算編成に向け、食肉処理施設整備の補助金設置、販売・流通体制づくりを検討している。県は「被害軽減と特産品開発の一石二鳥を図りたい」と話している。
県内の食肉処理場は上富田町など5カ所のみ。2007年には狩猟でイノシシとシカを約8000匹捕獲しているが、食肉処理したのは約150匹。残りは猟師が食用に持ち帰ったりもするが、大半は焼却や埋設などで処分している。狩猟期外の捕獲はほとんど買い手がないという。
2月施行の「鳥獣被害防止特別措置法」では、食肉処理施設整備などハード事業に国から2分の1の補助がある。しかし、県内からの申請はまだない。来年度は県がさらに4分の1を補助して、負担軽減を図る方針だ。また、安全や品質確保のため、本年度中に処理過程のガイドライン(指針)を作成する。
観光客など県外者を対象に、地域の特産物直売所だけでなく、レストランや観光施設で料理を提供してもらえるよう働き掛けていく。残った肉を有効活用するため、総菜加工も検討する。
特に、これまでほとんど流通していないシカ肉は、脂肪分やコレステロールが少なく、牛、豚、鶏肉よりタンパク質が多いため、健康食として注目されている。県畜産課によると、野生鳥獣肉を使うフランス料理では高級食材で、新たな需要の掘り起こしも期待出来るという。
県農業環境保全室によると、07年のイノシシによる農作物被害は約1億2300万円、シカは約3600万円。捕獲数は狩猟と狩猟期間外の有害駆除の合計でイノシシ約7000匹、シカ4402匹。
県は本年度、捕獲制限数の緩和や狩猟期間の延長を盛り込んだ「ニホンジカの保護管理計画」を策定した。ニホンジカは推計約1万6000匹いるが、農業被害の少なかった1994~95年当時の8700匹まで減少させるのを目標にしている。